ファレノプシスとその仲間の育て方
ファレノプシスとその仲間の、特徴は?
台湾から東南アジアを経て、オーストラリア北西部までの熱帯・亜熱帯地域に自生する着生蘭です。ギリシャ語で蛾を意味する単語がファレノプシスの語源とされています。これは、咲いた花の様子が蛾を連想させることから名づけられました。
花の時期
自然の環境では、冬から春先にかけて花が咲きます。
購入時の良い株の見分け方
一般的に葉に張りとツヤがある株、根の量が多く植え込み材料の中に張り出している株は健康状態が良い株とされています。ただし、中には根の張りが少ない系統もあるので、専門家のアドバイスを参考にすると良いでしょう。
購入後の手入れ
基本的に屋内で育てます。夏の間は屋外での栽培も可能ですが、土の中などに常在している特定の菌に対しての耐性が弱く、屋外で思わぬ感染を予防するためにも屋外での栽培管理は避けた方が無難です。
春から秋にかけての栽培ポイント
- ●置き場所
- レースのカーテン越しくらいの遮光がされた場所に置きます。また、できるだけ日当たりの良い場所だと生長が旺盛になり、水分の乾きも早くなるので栽培管理が楽になります。 花が咲いている間は乾燥した空気が直接当たらず、また、涼しい場所に置くと花が長く楽しめます。
- ●温度
- 人が快適に感じる環境であれば問題ありません。 温度で注意しなければならないのは冬の間の低温です。日当たりの良い窓辺は、夜間冷気に晒されますので注意が必要です。
- ●水やり
- 植え込み材料や根が病原菌に冒されると急速に樹勢が衰えます。鉢の中を汚染させないためには、植え込み材料をしっかり乾かすことが大切です。鉢の中が常に湿っていると特定の病原菌が繁殖しやすくなるため、乾湿の差をしっかりつけて鉢の中の環境を短期間で変化させる必要があるのです。最近は植え込み材料にバークが使用されることが多くなり、鉢の中が乾きやすくなったので水やりの管理が楽になりました。 水やりは1週間に一度、鉢の中がしっかり湿るように与えてください。
- ●肥料
- 花の鑑賞が終わったら、4月中旬以降10月まで施肥をします。 肥料は液肥を使用し、2週間に一度水やりの時に与えてください。肥料の濃さは1000倍(水1Lに対して肥料1グラム)くらいです。(使用肥料の規定倍率を守ってください) 置き肥や有機肥料は使用しません。余分な肥料分や病原菌の繁殖により鉢の中の環境が悪化する可能性があるからです。
- ●病害虫
- 胡蝶蘭にとって深刻な疾病は立枯れ病です。これは鉢の中に悪性の病原菌が繁殖して、根や株元を腐らせる病気です。 この他、ナメクジやバッタなどによる食害を受けることがあります。昆虫類による食害の多くは、夏のあいだ株を屋外に出して管理をした際に発生します。
植え替えの時期と方法
植え替えは2~3年に一度程度で大丈夫です。 植え替え時期は5月中旬から6月中旬くらいに行うのが良いでしょう。 植え込み材料は主に水苔とバークが用いられています。どちらも一長一短がありますが、最近ではバークを使用することが多くなりました。一般的に、バークの方が管理が楽だからです。 したがって、ここではバークを使用した植え替えを前提とします。 植え替えの際、出来れば鉢から抜いた株を2~3日そのままにして、株元の植え込み材料を乾かします。 その後一回り大きなプラ鉢に株を入れ、株と鉢の間の空間にバークをしっかり詰めていきます。バークを詰めていく際、固く締まるように割り箸などでバークを押しながら詰めていきます。 植え替えたあとは、根の周りが落ち着くまで水やりは控えます。1週間くらいが目安となるでしょう。
その他
胡蝶蘭は本来乾燥に強い植物です。多くの人は「株を大事にすることイコール水を小まめにあげること」と認識していますが、胡蝶蘭の場合は「根を病気から守る管理→植え込み材料をしっかり乾かす」ことが株の健康状態を保つポイントになります。
【過去の日本大賞花】
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2004年 日本大賞花
ファレノプシス フェイス
‘ホワイト ナイト’
Phal.Faith ‘White Knight’
国分寺洋蘭園/渡辺大之
(埼玉県) -
1998年 日本大賞花
ファレノプシス シグナス
‘ルネッサンス’
Phal.Cygnus ‘Renaissance’
国分寺洋蘭園/渡辺尚一
(東京都)